「慢性腎臓病と言われたけれど、そもそもどんな病気なの?」
「腎不全とは違うの?」
初めて調べ始めると、聞き慣れない言葉が次々に出てきます。
全部を一度に覚える必要はありません。
まずは、
慢性腎臓病は、腎臓の異常が長く続く病気
というところから始めましょう。
慢性腎臓病は、英語では CKD(シー・ケー・ディー) と呼ばれます。
シニア猫によくみられる病気ですが、進み方や現れる症状は一頭ずつ違います。また、早い段階では、外から見て分かる症状がほとんどないこともあります。
そもそも、腎臓は何をしているの?
腎臓というと、「おしっこを作るところ」というイメージがあるかもしれません。
もちろん、それも大切な仕事です。
腎臓は、血液の中から体にいらなくなったものを取り除き、尿として外へ出しています。
でも、仕事はそれだけではありません。
体の水分を調整したり、体に必要な成分のバランスを整えたり、血圧の調節に関わったりしています。
また、全身に酸素を運ぶ「赤血球」を作るために必要なホルモンにも関わっています。
つまり腎臓は、
体の中をちょうどよい状態に保つために、いろいろな仕事をしている臓器
でもあります。
そのため、腎臓の働きが低下すると、体のさまざまなところに影響が現れることがあります。
↑ 目次へ戻る慢性腎臓病になると、何が変わるの?
腎臓には、体に必要な水分を残しながら、おしっこを作る働きがあります。
慢性腎臓病で腎臓の働きが低下してくると、その働きが弱くなり、おしっこの量が増えることがあります。
そのため、失った水分を補おうとして、水をたくさん飲むようになります。
「最近、おしっこの量が増えた」
「前より水を飲むようになった気がする」
そんな変化が、腎臓病に気づくきっかけになることもあります。
状態が進むと、食欲が落ちる、体重が減る、吐く、元気がなくなる、脱水する、貧血になるなど、さまざまな変化がみられることがあります。
ただし、すべての猫に同じ症状が出るわけではありません。
また、慢性腎臓病の猫では、血圧が高くなることもあります。
高血圧は腎臓だけでなく、目や脳、心臓などに影響することがあるため、血圧も大切な確認項目のひとつです。
↑ 目次へ戻るなぜシニア猫に多いの?
慢性腎臓病は、年齢を重ねた猫ほど多くみられます。
ただし、
「年をとったから腎臓病になった」
と単純に言えるものではありません。
生まれつきの腎臓の異常、炎症や感染、尿の通り道の問題など、さまざまな原因が関係することがあります。
一方で、シニア猫の慢性腎臓病では、調べてもはっきりした原因が分からないこともあります。
大切なのは、
気づいた今、その子の腎臓がどんな状態なのかを知っていくこと
です。
↑ 目次へ戻る初期には、気づきにくい病気です
慢性腎臓病は、早い段階では目立った症状がないことがあります。
腎臓にはもともと余力があるため、一部の働きが低下しても、すぐには見た目の変化として現れないことがあるからです。
そのため、
「いつも通り食べていた」
「元気そうだった」
「健康診断で初めて分かった」
ということもあります。
見た目だけでは分からない時期がある病気だからこそ、シニア猫では定期的な診察や血液検査、尿検査などが、変化に気づく助けになります。
↑ 目次へ戻る「腎臓病」「腎不全」「慢性腎不全」――何が違うの?
ここは、少しややこしいところです。
ネットや本、動物病院などで、
「慢性腎臓病」
「慢性腎不全」
「腎不全」
という言葉を目にすることがあります。
「結局、同じなの? 違うの?」と思うかもしれません。
まず、腎臓病は、腎臓に何らかの病気や異常があることを広く表す言葉です。
そして現在、腎臓の異常が長く続いている状態については、慢性腎臓病(CKD)という呼び方が広く使われています。
慢性腎臓病には、まだ目立った症状がない早い段階も含まれます。
一方、腎不全は、腎臓の働きが低下し、体に必要な働きを十分に保つことが難しくなった状態を表す言葉として使われます。
ただ、ここが分かりにくいところです。
以前から、猫の慢性的な腎臓の病気を「慢性腎不全」と呼ぶことが多く、現在でもこの言葉は使われています。
現在は、まだ症状のない早い段階も含めてとらえられる「慢性腎臓病(CKD)」という呼び方が一般的になっています。
ですので、
「慢性腎不全と書いてあったから、もうかなり重い状態なんだ」
と、言葉だけで判断する必要はありません。
「慢性腎不全」と「慢性腎臓病」が、同じような意味で使われている場合もあります。
大切なのは呼び方よりも、
今、その子の腎臓がどのくらい働いているのか、ほかにどんな問題が起きているのか
を確認することです。
このサイトでは、早い段階から進行した状態まで含めて、基本的に「慢性腎臓病(CKD)」という言葉を使います。
↑ 目次へ戻る急性の腎臓病とは何が違うの?
腎臓について調べていると、急性腎障害(AKI/エー・ケー・アイ)という言葉を見ることもあります。
慢性腎臓病が、長い期間にわたって腎臓の異常が続く病気なのに対して、急性腎障害は、短い期間に急に腎臓の働きが悪くなる状態です。
原因や治療の考え方も違います。
急性腎障害では、原因や状態によっては腎臓の働きが回復することもあります。
そのため、
「血液検査で腎臓の数値が悪かった=慢性腎臓病」
と、ひとつの検査結果だけで判断することはできません。
獣医師は、それまでの経過や診察、血液検査や尿検査、必要に応じてエコーなどの検査を合わせて判断します。
↑ 目次へ戻る「ステージ1〜4」って何?
慢性腎臓病について調べていると、
「ステージ1」
「ステージ2」
「ステージ3」
「ステージ4」
という言葉を目にすることがあります。
これは、慢性腎臓病の状態を整理するための国際的な目安です。
慢性腎臓病と診断された猫について、状態が安定しているときの血液検査などをもとに、ステージ1〜4に分けます。
そのときに使われるのが、クレアチニンやSDMAという検査項目です。
ここでは名前を覚えなくても大丈夫です。
どちらも、腎臓の働きをみるために使われる血液検査の項目と考えてください。
さらに、尿にたんぱく質が多く漏れていないか、血圧が高くなっていないかも確認して、その子の状態をもう少し詳しくみていきます。
ですので、同じ「ステージ2」の猫でも、状態や必要なケアがすべて同じというわけではありません。
そして、
ステージは「あと何年」という余命を決める表ではありません。
今の状態を整理して、
「これから何を確認していくか」
「どんなケアが必要か」
を考えるための目安です。
ステージについては、別の記事でもう少し詳しく説明します。
↑ 目次へ戻る慢性腎臓病は治るの?
慢性腎臓病によって失われた腎臓の組織や働きを、現在一般的に行われている治療で元の状態に戻すことは難しいとされています。
でも、
「治らない」と「できることがない」は、まったく違います。
その子の状態に合わせて、水分や栄養を保つこと。
血圧や尿の状態を確認すること。
食欲が落ちたり、吐き気や貧血などが出たりしたときには、それぞれに必要な治療を考えること。
慢性腎臓病では、そうしたひとつひとつの問題に対応しながら、腎臓の働きとその子の毎日の暮らしを支えていきます。
治療はすべての猫に同じように行うのではなく、その子の状態に合わせて考え、経過をみながら調整していきます。
そのひとつひとつが、その子の毎日を支える大切なケアになります。
↑ 目次へ戻る進み方は、猫によって違います
「慢性」と聞くと、ずっと同じ速さで悪くなっていくように感じるかもしれません。
でも、進み方は一頭ずつ違います。
長い間、大きな変化なく過ごす猫もいれば、比較的早く状態が変化する猫もいます。
だから大切なのは、一回の検査結果だけを見ることではなく、
「前回から、どう変わった?」
と経過をみていくことです。
血液検査や尿検査、血圧だけでなく、日々の体重や食欲、水を飲む様子、おしっこの量、元気や動き方なども、その子の変化を知る手がかりになります。
↑ 目次へ戻るシニア猫だからこそ、定期的に見ていこう
慢性腎臓病はシニア猫に多く、早い段階では見た目だけでは分からないことがあります。
ですので、
「元気そうだから大丈夫」
だけではなく、定期的な診察や検査で変化をみていくことが大切です。
もし検査で腎臓の変化が見つかったとしても、
気づいた今から、できることがあります。
すべてを一度に理解する必要はありません。
今の状態を知って、ひとつずつ。
その子に必要なことを、その子のペースで考えていきましょう。
↑ 目次へ戻るこの記事について
最終確認:2026年9月1日
この記事は、猫の慢性腎臓病について一般的な情報を提供することを目的としています。
個々の猫の診断や治療方針を決めるものではありません。愛猫の状態や治療については、担当の獣医師に相談してください。
主な参考情報
次に読みたい記事
次は、
へ進めるようにします。
検査用紙に並ぶ数字が、それぞれ何を見ているのかを、ひとつずつ分かりやすく説明します。