「血液検査でCREAが高いと言われた」
「BUNも高いけれど、これは何?」
「SDMAって、また別の検査なの?」
検査結果の紙には、アルファベットと数字がたくさん並んでいます。
初めて見ると、それだけで難しく感じるかもしれません。
全部を一度に覚える必要はありません。
まずは、腎臓の検査でよく目にする、
CREA(クレアチニン)
BUN(ビー・ユー・エヌ/尿素窒素〈にょうそちっそ〉)
SDMA(エス・ディー・エム・エー)
この3つから見ていきましょう。
そもそも、なぜ血液検査で腎臓のことが分かるの?
腎臓には、血液の中から体にいらなくなったものを取り除き、おしっことして外へ出す働きがあります。
腎臓の働きが低下すると、本来は外へ出ていくものが、血液の中に残りやすくなります。
そのため、
血液の中にどのくらい残っているかを見ることで、腎臓の働きを知る手がかりにする
ことができます。
ただし、ひとつの数字だけで腎臓の状態すべてが分かるわけではありません。
血液検査だけでなく、尿検査やその子の水分状態、体格、これまでの検査結果などを合わせて見ていきます。
↑ 目次へ戻るCREA(クレアチニン)って何?
クレアチニンは、筋肉が使われることでできる老廃物のひとつです。
血液によって腎臓まで運ばれ、通常は腎臓で取り除かれて、おしっこと一緒に体の外へ出ていきます。
ところが腎臓の働きが低下すると、十分に外へ出せなくなります。
そのため、
腎臓の働きが低下する
→ クレアチニンが血液の中に残りやすくなる
→ 血液検査の数値が高くなる
ということがあります。
ただし、
「クレアチニンが高い=慢性腎臓病」
と、それだけで決まるわけではありません。
脱水していると高くなることがあります。
反対に、筋肉の少ない猫では、腎臓の働きが低下していてもクレアチニンがそれほど高くならない場合があります。
シニア猫は筋肉が少なくなっていることもあるため、数字だけでは判断しにくいことがあります。
↑ 目次へ戻るBUN(ビー・ユー・エヌ)って何?
BUNは、日本語では尿素窒素(にょうそちっそ)といいます。
名前は難しいですが、まずは、
体の中でたんぱく質が使われたあとにできる老廃物に関係する検査
くらいに考えて大丈夫です。
これも腎臓から体の外へ出されます。
そのため、腎臓の働きが低下すると血液の中にたまり、BUNが高くなることがあります。
ただし、BUNも腎臓だけで決まる数字ではありません。
脱水や、食事に含まれるたんぱく質の量などによっても変わることがあります。
高たんぱくな食事でBUNが高めになることがあり、反対に食事量やたんぱく質の摂取量が少ないと低めになることもあります。
ですので、
「BUNが高い=腎臓病」
と、ひとつの数字だけで考えないことが大切です。
↑ 目次へ戻る検査前の食事はどうするの?
血液検査では、食事の影響を減らして検査しやすくするため、動物病院から検査前の食事を控えるよう指示されることがあります。
ただし、検査によって必要な準備は違います。
そして、シニア猫では食欲やその日の体調を優先することも大切です。
検査のために自己判断で長時間食事を抜くのではなく、その子の状態を担当の獣医師に伝えて、検査前の食事をどうするか確認しましょう。
また、特別な指示がない限り、水まで自己判断で控える必要はありません。
脱水そのものが検査結果に影響することがあります。
検査のために無理をするのではなく、その子の体調や「食べられていること」も大切に考えます。
↑ 目次へ戻るSDMAって何?
SDMAも、腎臓の働きを見るための血液検査です。
腎臓の働きが低下すると、SDMAも血液の中に増えることがあります。
SDMAの特徴のひとつは、クレアチニンより筋肉量の影響を受けにくいことです。
そのため、筋肉が少なくなっているシニア猫でも、腎臓の変化を知る手がかりになります。
また、クレアチニンより早い段階で変化することがあるため、腎臓の変化を早く見つけるためにも使われています。
ただし、
「SDMAが高い=慢性腎臓病が確定」
というわけではありません。
ほかの検査結果やその子の状態、数値の変化が続いているかなども合わせて判断します。
↑ 目次へ戻る「どの数字がいちばん大事?」ではありません
ここまで読むと、
「じゃあ、SDMAだけ見ればいいの?」
と思うかもしれません。
でも、そうではありません。
CREA、BUN、SDMAには、それぞれ分かることと、数字に影響するものがあります。
そのため、ひとつだけではなく、いくつかの検査結果を合わせて見ることが大切です。
そして、血液検査と同じように大切なのが尿検査です。
↑ 目次へ戻るなぜ尿検査もするの?
腎臓は、おしっこを作る臓器です。
そのため、できあがったおしっこを調べることでも、腎臓や尿の通り道について大切な情報が得られます。
たとえば、
おしっこがどのくらい濃いか
を調べます。
前の記事でも触れたように、腎臓の働きが低下すると、体に必要な水分を残す働きが弱くなり、おしっこの量が増えて薄くなることがあるからです。
尿検査では、尿にたんぱく質が多く出ていないか、血液や細菌などがないかといったことも確認します。
また、尿を顕微鏡で見ると結晶が見つかることがあります。
↑ 目次へ戻る「結晶」が見つかったら、結石があるの?
結晶と結石は、同じものではありません。
尿の中の成分が結晶になり、それらが集まって大きくなると、結石になることがあります。
でも、
「尿に結晶があった=結石がある」
という意味ではありません。
結晶があっても結石がないこともあります。
反対に、結石があっても、尿検査だけでは分からないことがあります。
結石が疑われる場合には、エコーやレントゲンなどの画像検査を使って確認します。
↑ 目次へ戻る血液検査だけでは分からないこともあります
ここは、とても大切なところです。
腎臓の数値が高いからといって、その原因がすべて慢性腎臓病とは限りません。
猫では、腎臓から膀胱へ尿を運ぶ細い管である尿管に結石などが詰まり、尿の流れが悪くなることで、腎臓の数値が上がることがあります。
とくに尿管の閉塞は、猫では気づきにくいことがあります。
片側だけの閉塞では、もう一方の腎臓が働いているため、初めは目立った症状や大きな血液検査の変化が出ない場合もあります。
閉塞が続けば、腎臓にダメージを与えることがあります。
そこで役立つのが、エコーなどの画像検査です。
エコーでは、腎臓の大きさや形、内部の状態を見ることができます。
慢性腎臓病では、進行すると腎臓が小さくなったり、形が不規則になったりすることがあります。
また、尿が流れる部分が広がっていないか、尿管の閉塞や結石が疑われないかなどを確認する手がかりにもなります。
国際的な診療ガイドラインや専門的な獣医療情報でも、慢性腎臓病の評価や悪化した原因を確認するときには、画像検査を使って結石や尿路の閉塞など、治療できる問題が隠れていないかを調べることが大切とされています。
ですので、腎臓の検査では、
「数字が悪い」だけでなく、
「なぜ数字が悪くなっているのか」
を考えることも大切です。
血液検査や尿検査の結果、これまでの経過などによっては、エコーやレントゲンなどの画像検査について、担当の獣医師に相談してみてもよいでしょう。
また、治療をしても数値が思うように改善しないときや、急に腎臓の状態が悪くなったときには、ほかの原因や尿の流れの問題が隠れていないかを確認することも大切です。
↑ 目次へ戻る血液・尿・画像――違う方向から見る
簡単にいうと、
血液検査は、血液の中に何が残っているかを見る。
尿検査は、腎臓がどんなおしっこを作っているかを見る。
画像検査は、腎臓の形や尿の流れなどを見る。
それぞれ、違う方向から腎臓や尿の通り道を見ています。
一つだけでは分からないことも、いくつかの検査を合わせることで少しずつ見えてきます。
↑ 目次へ戻る一回の数字だけで決めない
腎臓の検査では、
「今回の数字はいくつだった?」
だけではなく、
「前回から、どう変わった?」
と経過を見ることも大切です。
脱水しているときと、十分に水分がとれていて状態が安定しているときでは、検査結果が変わることがあります。
慢性腎臓病では、一度の数値だけではなく、状態が安定しているときの検査や、その後の変化を確認しながら評価していきます。
検査結果をもらったときは、
「この数字は何を表しているの?」
「前回と比べるとどう?」
「尿検査ではどうだった?」
「画像検査は必要?」
と担当の獣医師に聞いてみてもいいでしょう。
検査の数字は、その子の状態を知るための大切な情報です。
でも、
ひとつの数字だけで、その子のすべてが決まるわけではありません。
数字だけでなく、その子の今の様子と、なぜその数字になっているのか。
その両方を見ながら考えていきましょう。
↑ 目次へ戻るこの記事について
最終確認:2026年9月1日
この記事は、猫の腎臓に関する検査について一般的な情報を提供することを目的としています。
個々の検査結果から診断や治療方針を決めるものではありません。
愛猫の検査結果や必要な検査については、その子の状態と合わせて担当の獣医師に相談してください。
主な参考情報
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CREAやSDMAなどの検査結果を使って、慢性腎臓病の状態をどのように整理していくのか、ひとつずつ説明します。