「ステージ2と言われたけれど、どのくらい悪いの?」

「ステージが上がったら、もう長くないの?」

慢性腎臓病について調べ始めると、よく目にするのが、

ステージ1
ステージ2
ステージ3
ステージ4

という言葉です。

数字が大きくなるほど、腎臓の働きが低下していることを表します。

でも、最初に知っておいてほしいことがあります。

IRISステージは、余命を決めるための表ではありません。

今の腎臓の状態を整理して、

「これから何を確認するか」
「どんな治療やケアが必要か」

を考えるための目安です。

そもそも「IRIS」って何?

IRIS(アイリス)は、犬や猫の腎臓病について、診断や治療の国際的な指針を作っている専門組織です。

慢性腎臓病については、状態をステージ1〜4に分ける方法を示しています。

ここで大切なのは、

腎臓の数値が高かったから、すぐにステージを決めるわけではない

ということです。

まず、慢性腎臓病であることを確認します。

そのあとで、「今どのくらいの状態なのか」を整理するのがIRISステージです。

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ステージは、いつ決めるの?

IRISでは、猫の状態が安定し、十分に水分がとれているときの検査結果を使ってステージを考えます。

必要に応じて検査を繰り返し、数値が大きく変動していないことも確認します。

たとえば、脱水しているとクレアチニンが高くなり、実際より腎臓病が進んでいるように見えることがあります。

「今日の数値が高かったから、今日この場でステージ3」

と単純に決まるものではありません。

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何を使ってステージを決めるの?

主に使われるのが、

CREA(クレアチニン)
SDMA

です。

前の記事で見たように、どちらも腎臓の働きを知るために使われる血液検査です。

猫のIRISステージには、次のような目安があります。

ステージ CREA(mg/dL) SDMA(µg/dL)
1 1.6未満 18未満
2 1.6〜2.8 18〜25
3 2.9〜5.0 26〜38
4 5.0を超える 38を超える

ただし、この表だけを見て、自分でステージを決めるものではありません。

筋肉量や水分状態、これまでの数値の変化、尿検査や画像検査なども合わせて獣医師が判断します。

クレアチニンとSDMAが違うステージを示すこともあります。その場合も、年齢や筋肉量、ほかの検査結果などを合わせて考えます。

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ステージ1なのに、腎臓病なの?

ここは、初めて見ると少し不思議なところです。

ステージ1では、クレアチニンが正常範囲に入っていることがあります。

「じゃあ、どうして腎臓病なの?」

と思いますよね。

慢性腎臓病は、血液検査の数字だけで見つかるわけではありません。

たとえば、

おしっこを十分に濃くできない状態が続いている。
尿にたんぱく質が漏れている。
エコーなどで腎臓の形や大きさに異常がみられる。
クレアチニンやSDMAが少しずつ上昇している。

こうした腎臓の異常が続いていることが確認されれば、血液検査の数値が大きく悪くなる前でも慢性腎臓病と診断されることがあります。

つまり、

「血液検査が正常範囲=腎臓にまったく問題がない」

とは限りません。

前の記事で、血液検査だけでなく尿検査やエコーも大切だと書いたのは、ここにもつながります。

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ステージ2はどんな状態?

ステージ2では、腎臓の働きに軽度の低下がみられます。

ただ、目立った症状がほとんどない猫もいます。

水を飲む量やおしっこの量が少し増えた程度だったり、健康診断で初めて分かったりすることもあります。

「元気だから腎臓病ではない」

とは限りません。

一方で、ステージ2だからといって、すべての猫が同じ状態というわけでもありません。

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同じステージでも、状態は同じではありません

たとえば、どちらも「ステージ2」のAちゃんとBちゃんがいたとします。

Aちゃんは、高血圧があるけれど、尿たんぱくはほとんど出ていない。

Bちゃんは、血圧は正常だけれど、尿たんぱくが多く出ている。

同じステージ2でも、注意することや必要な治療は同じとは限りません。

IRISではステージ1〜4を決めたあと、さらに尿蛋白と血圧を確認して、その子の状態をより詳しく見ていきます。

追加で見るもの 何を見る?
尿蛋白 尿にたんぱく質がどのくらい漏れているか
血圧 高血圧による腎臓や目などへの影響がないか
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なぜ尿蛋白を見るの?

腎臓には、体に必要なたんぱく質を血液の中に残しながら、いらないものを外へ出す働きがあります。

腎臓に問題があると、体に残しておきたいたんぱく質が尿の中へ漏れることがあります。

そこで、

尿にどのくらいたんぱく質が漏れているか

を確認します。

この評価には、UPC(尿にたんぱく質がどのくらい漏れているかを見る検査)が使われます。

尿蛋白は、ステージとは別に確認する大切な項目です。

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なぜ血圧も見るの?

慢性腎臓病の猫では、高血圧になることがあります。

高血圧は腎臓に負担をかけるだけでなく、目や脳、心臓などにも影響することがあります。

そのため、慢性腎臓病では血圧も大切な確認項目になります。

ただ、猫は病院で緊張すると、血圧が一時的に高くなることがあります。

一回の測定だけで判断せず、できるだけ落ち着ける環境で複数回測ったり、必要に応じて別の日にも確認したりします。

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ステージ3はどんな状態?

ステージ3になると、腎臓の働きの低下は中等度になります。

食欲の低下、体重減少、吐き気や嘔吐、脱水など、腎臓病に伴う変化が出てくる猫も増えます。

ただし、状態には幅があります。

あまり目立った症状がない猫もいれば、いくつかの症状が出ている猫もいます。

「ステージ3だから、この症状が必ず出る」

というものではありません。

その子に起きている問題をひとつずつ確認し、それぞれに対応していきます。

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ステージ4はどんな状態?

ステージ4では、腎臓の働きが大きく低下しています。

老廃物を十分に体の外へ出せなくなり、食欲低下や吐き気、元気がなくなるなど、全身への影響が出やすくなります。

この段階では、腎臓そのものだけでなく、

食べられているか
水分が保てているか
吐き気などでつらそうではないか
その子が穏やかに過ごせているか(QOL/生活の質)

といった毎日の状態を、より丁寧に見ていくことも大切です。

ステージが進むにつれて、病気の進行を抑えることだけでなく、症状を和らげ、その子ができるだけ穏やかに過ごせるよう支えることも大切になります。

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ステージが上がったら、もう戻らないの?

慢性腎臓病によって失われた腎臓の働きを元通りにすることは難しいとされています。

ただし、検査結果は脱水やその日の体調などの影響を受けます。

一度高いステージに見えても、状態が安定したところで改めて検査すると、数値や評価が変わることがあります。

状態が変化したときや治療後には、ステージや尿蛋白、血圧について改めて評価することもあります。

一回の数字だけではなく、経過を見ていくことが大切です。

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ステージは「その子の全部」ではありません

ステージは、とても役立つ目安です。

でも、

ステージ2の猫はみんな同じ。
ステージ3になったらこうなる。

というものではありません。

血圧、尿蛋白、リンやカリウムなどの血液検査、体重、食欲、水分状態、ほかの病気の有無。

そして、その子自身の毎日の様子。

それらを合わせて、その子に必要なケアを考えていきます。

ステージという数字だけを見て、先の時間まで決めつけない。

今の状態を知り、これから何をしていくかを考えるための目安として使っていきましょう。

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この記事について

最終確認:2026年9月1日

この記事は、猫の慢性腎臓病におけるIRISステージについて一般的な情報を提供することを目的としています。

ステージの判断や必要な治療は、検査結果だけでなく、その子の状態を合わせて担当の獣医師と確認してください。

主な参考情報

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